この記事のポイント
- 水泳中の発汗は、原著研究でも測定されている。
- 少人数の競泳選手の平均値を、全員の飲水量にしない。
- プールの持ち込み条件と、練習中に飲める機会を確認する。
水中でも発汗は測定されている
Maughanらの研究は、訓練された競泳選手17名を対象に、105分の練習を2回調べ、発汗と電解質の損失を測定しています。水泳中にも汗をかくことを確認した原著研究です。一方、この研究では平均的には水分状態が保たれていました。
つまり「水中なら汗をかかない」も、「水泳は誰でも大量に脱水する」も、この研究からの適切な結論ではありません。参加者、水温、練習内容などの条件を踏まえる必要があります。研究の平均値を、そのまま子どもや一般のプール利用者の飲水量へ置き換えないでください。
この節の参考:[1]
汗を調べる難しさも、研究の一部
Reederらは防水の汗センサーを用い、水中運動中の汗や塩化物濃度を測定しました。周囲のプールの水と身体から出た汗を区別すること自体が、測定上の課題になります。
身体が濡れている場面では、陸上と同じ感覚で汗の量を見積もりにくいと考えられます。これは測定の事情からの推論であり、見た目だけで不足量を診断できるという意味ではありません。水分補給は、発汗を自覚できたかだけでなく、練習条件や飲める機会も含めて考えます。
この節の参考:[2]
練習の前に、容器と置き場所を確認する
編集部では、プールで使える容器や持ち込み場所を先に確かめることを提案します。施設によって利用条件が異なるため、陸上で使っているボトルをそのまま置けると想定しないようにします。安全や衛生については施設の案内を優先します。
練習メニューの区切りで飲めるか、休憩時に戻れる場所はどこかを、指導者と確認します。ロッカーに置いたまま使えなかった場合は、持参したという事実だけで準備を終わらせないでください。必要な物へ実際に手が届く動線を考えます。
- 使用できる容器と、置ける場所。
- メニューの区切りと、飲める機会。
- 練習前後の移動・着替え・食事の予定。
体重を測るときも、水中ならではの誤差がある
運動前後の体重を使って発汗を概算する方法がありますが、水泳では身体や衣服の濡れ、プールの水の飲み込みなどにも注意が必要です。数字を記録するときは、測った条件も一緒に残します。
一度の体重差だけで、そのまま飲む量を決めたり、体調を判断したりしないでください。測定をしたい場合は、チームの専門職へ方法を相談することも選択肢です。計算のために無理な飲水制限を行ったり、得られた数値を必ず飲み切るノルマにしたりしないようにします。
この節の参考:[1]
競泳と、健康づくりの水泳を分けて考える
長い競泳練習と、短時間の水中ウォーキングでは、活動の条件が異なります。競技名が同じ水泳でも、時間、強度、水温、施設、本人の状態まで見て準備を考えましょう。専門選手の研究の数字を、そのまま一般の運動へ当てはめる必要はありません。
水中で不調を感じた場合は、補給の工夫より先に指導者や監視員へ伝え、安全な場所へ移ります。無理に泳ぎ続けないことが大切です。補給は施設の安全ルールと合わせて整え、症状を特定の成分の不足と自己判断しないでください。
参考文献・確認した資料
- Water and salt balance of well-trained swimmers in training ↗
Maughan et al.。2009年、17名の競泳選手の練習を調べた原著。平均値を全世代へ適用できません。 - Waterproof, electronics-enabled, epidermal microfluidic devices for sweat collection, biomarker analysis, and thermography in aquatic settings ↗
Reeder et al. / Science Advances。2019年の原著。防水汗センサーでの水中の測定を確認。特定飲料の有効性試験ではありません。
一般的な知識を整理した記事であり、個別の診断・治療・補給量の処方ではありません。医師・管理栄養士による監修は受けていません。資料の対象集団や研究方法により、分かる範囲は異なります。症状がある場合や疾患・服薬がある場合は医療専門職へご相談ください。
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